プログラミング教育の真実(インタビュー)


今回、個人経営型プログラミング教室として、news salt 編集部様と対談形式でインタビューし、記事にしていただきました。

いよいよ4月から、小学校でのプログラミング教育が必修化されます。これによって日本の未来に何がもたらされるのか、賛否両論ある中で解決すべき問題は何なのか―。プログラミング教室を経営する吉金丈典さんにうかがいます。
―必修になるほどプログラミングがもてはやされるようになったのには、どのような背景があるのでしょうか?海外からの影響が強いと言えます。インドでは子どもが日本で覚える九九に加えて2桁×2桁までのかけ算を一部暗記するなど数字に強く、ここから優秀な人材が大手IT企業に多数輩出されています。中国でも、アリババなどITユニコーン企業がいくつも立ち上がっています。こうした流れに後れを取っている日本としては、「IT人材を育てなければいけない」という風潮が起こっていることが、一つの要因と言えます。
 

―プログラミング教育において重要なものは何だと考えますか?

プログラミングは、あくまでも“ツール”に過ぎません。例えば銀行のATMを考えてみましょう。お金を預ける、引き出す、振り込むといった作業をするために、プログラムが組まれています。ATMを作るのには、システムの仕様を設計したり、ユーザーインターフェイスをデザインしたり、様々な工程がありますが、プログラミングはATMを動かすためのソースコード(指示書)を書くという一つの工程に過ぎません。プログラミングができれば、機械を自由自在に扱えるというわけではないのです。プログラミングの習得にばかり目が行きがちですが、技術を使って「何をするか」が重要だと考えます。学校教育においても、このことを子ども達が受け取れるかどうかが鍵になるのではないでしょうか。暗記学習などと同じく、技術の習得に終始しないことを願うばかりです。
 

―やはり教える人材不足に不安が残りますね。

とくに小学校においては、技術の習得よりもプログラミングを学ぶことの喜びを感じられる教え方が必要でしょう。プログラミングを通して何ができるのか、幅広い可能性やビジョンを提示できると良いと思います。技術をうまく使えばものすごい力を発揮し、画期的なことができますが、逆にハッキングのように使い方を間違えると大きな事故にもつながりかねません。そのあたりの教育も必要ですね。

また、小・中学校・塾を問わず、集団授業と個別指導を適切に使い分けていく必要性を感じます。私の教室では、一つのモニタに複数人の生徒のPC画面を映し出して、プログラムを組む過程をチェックすると同時に、必要に応じて私が生徒のパソコンにリモートで入り、その場でお手本を見せます。こうすることで、子どもたちの躓きと解決に至るプロセスをスムーズに把握し、ガイドすることができます。生徒が躓いている時間が長いほど諦めにつながり、やる気の低下に直結するからです。もちろん後から遡って間違った箇所を探し出して直すこともできますが、全員が一斉に取り掛かる集団授業だけでは、一人一人のフォローアップには限界があります。
 

―吉金さんのプログラミング教室に通う生徒に、おもしろい変化があったと伺いました。

プログラミングを学び始めると、生徒のうちの何人かが、必要な情報と不必要な情報を素早く判断できるようになってきました。情報に振り回されたり、メディアに踊らされるのを防ぐことに繋がる、良い傾向ではないかと考えています。また論理的思考力が身につき、その結果、話の運びが早くなる子が増えてきた印象です。相手の言わんとすることをすぐに察して次の行動に早く移り、素早く課題に取り組める子が増えてきました。幼いうちから、コミュニケーション能力や物事を効率的に進める力をつけることに確実につながるように感じます。

プログラミング“言語”という通り、プログラミングにはコミュニケーション能力も求められます。近年「STEAM教育」という教育手法が注目されている通り、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Arts(芸術)・Mathmatics(数学)の各分野を総合的に身に着ける必要があるのです。プログラミングができるだけでは「IT人材」「AI人材」と言えないわけです。

近い将来、労働市場の多くの分野がAIやロボットに取って代わられるともいわれていますが、むしろそれらを創造し駆使できるような人材をより広い視野で育てていくことが大切だと考えます。

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